国立病院での診断で出た母の病名は「上腸間膜動脈症候群」。
ネットで調べると若い女性が罹るらしく、急激に痩せた場合にこの症状が出るらしい。
手術もあるようだが、一般的には保存的治療として、点滴を受けるようだ。それに加えて、母は姿勢の改善(仰向けに寝てはダメ。特に食事後はうつ伏せか、90度の角度で座る)が薦められた。
これが母にはキツいらしく、病状も改善しないと思ったのか、ひたすら「家に帰りたい」の一点張りだった。
ところが、家に帰ると点滴がなくなるので、みるみるうちに病状が悪化し、最後には支えがなければ歩けない状態になった。
A病院のかかりつけの先生は大学病院からの出向(?)で、実際の主治医は常勤の医師に変更になり、病状の説明をしたいということで、土曜日に家族で説明を聞いた。
主治医の話によれば、上腸間膜動脈症候群は除外診断によって付けられた病名らしい。要するに疑わしい病気を検査によって除外することで、消去によってこの病名が付いたとのこと。
「10年後にはほかの病名が付いているかもしれないけれど、要するに今の時点ではわからないということです」と主治医。
「入院時には肝臓の状態が悪かったけど、点滴で改善しているし、今のところ栄養状態にも問題はない。ひょっとしたら、食事がとれるようになって、自宅に帰ることができるかもしれない。けれど、このまま食べられなかったり、誤嚥性肺炎になったら、延命処置はしないし、国立病院などの大きな病院への救急搬送はしません」と言われ、それを了承する書類にサインとハンコを押してくれと言われる。
夫曰く「心因性のものも関係しているかもしれないから、マッチョが取り囲んで元気出せ!とか言われたら、元気になるかもね」などと冗談めかして言う。確かに心も絡んでいるかもしれない。
一見柔和な母だが、若い頃は毒を吐くことが多かった。最近では家にいることが多く、社会的なつながりも希薄になっていた。
もしも早く介護保険が使えて、デイサービスなどを利用できていれば、状況は変わったかもしれないが、どれもこれも「今さら」という感じがする。
いずれにしろ、覚悟を持っていたほうがいいことは間違いなさそうだ。